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リレーエッセイ 2016・夏
海苔の抗酸化成分 1/2/天野 秀臣

夏になると日焼けについての様々な情報が新聞、雑誌、テレビ番組その他で取り上げられます。日焼け防止を目的とした広告もたくさん目につきます。気象庁は紫外線情報を発表し、翌日の紫外線の予測分布図をホームページに掲載しています。しかし、筆者が小学生の頃、夏休みの前の終業式では先生から「真っ黒に日焼けして2学期にまた元気で会いましょう」と言われたことを覚えています。9月には日焼けで黒いほどクラスで自慢できました。以前は母子手帳に書かれていた赤ちゃんの「日光浴」の項目が、現在は「外気浴」という記載になっています。過度に日焼けすることの害がはっきりした現在では、想像もできないような私の子供時代でした。

日焼けの思い出

大学1年生の夏には、千葉県館山湾での実習で遠泳とピンネス(カッターより大きい艇)の漕艇で2週間を過ごしました。漕艇は長袖長ズボンのために、じっくりと日焼けし、皮膚に水ぶくれのような炎症は起きませんでしたが、後日皮がむけ、真っ黒になりました。その色はほぼ半年、消えませんでした。今で言う「サンタン=メラニン色素の生成で色が黒くなる日焼け」でしょう。大学3年の時には千葉県木更津の海での実習で素肌を1日焼き、ひどい炎症を起こしました。今の「サンバーン=皮膚が真っ赤になり痛い日焼け」だと思います。この時はさすがに皮膚科に行き、薬をもらいました。毎年、夏に日焼けの話題を見聞きするたびに学生時代の2つの経験を思い出します。

その後、就職した大学で、共同研究先から養殖マダイの日焼け防止用の餌の試験を頼まれました。海藻から抽出した抗酸化物質を餌に混ぜてマダイに与え、日焼け防止効果を調べました。2年間の試験の結果はそこそこ良いものでした。研究を続けていれば実用化も可能であったかもしれません。

日焼けの影響

過度の日焼けがなぜ体に悪いかは、紫外線の直接の害であるDNAの損傷や、紫外線にさらされることにより過剰発生する体内の活性酸素の害として説明されます。

普段、私たちは呼吸のために酸素を取り入れます。その酸素は一部が体内でエネルギー代謝のために、スーパーオキシド(アニオン)ラジカル(・O2- )、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシラジカル(・OH )、一重項酸素(1O2 )その他の活性酸素に変わります。これらの活性酸素は病原体を排除するなど有用な一面もありますが、反応性が非常に高いので長期かつ大量に存在すると体に悪影響がでます。そのようにならないために体内では抗酸化酵素 (スーパーオキシドディスムターゼ、カタラーゼなど)や抗酸化物質(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、グルタチオンなど)が活性酸素の消去をしています。しかし紫外線などの照射で活性酸素が過剰になると消去しきれず、人体に害を及ぼします。

紫外線による人体への主な影響は、急性傷害として、① 日焼け(サンバーン、サンタン)、② 紫外線角膜炎(雪目)、③ 免疫機能低下が、慢性障害として皮膚では① シワ(菱形皮膚)、 ② シミ、 ③ 皮膚がんが、目では白内障が知られています。その他、DNAの損傷が度重なると皮膚がんの原因になると考えられています。

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