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産地を追って no.5 全国的に生産ダウン

3 「山」と「川」と「海」

のりは海で育ちます。しかし、のりの育ち方を見ていると「海」は「山」と「川」によって育てられ、その恩恵を受けているのではないか-ということを強く感じさせられます。昭和38年頃、有明海でののり生産の取材をしていた時、ある漁連の専務理事(後に会長になった故人ですが)から、「あそこに山が見えるだろう。あの山に雪が降るとのりの出来が良くなる。覚えときなさい」と教えられたことがあります。

その県では一番高い山で、標高は1,046m、冬場はスキー場もオープンしています。山の雪解け水が河川を流れ下って有明海に注ぎ、のりが育ち易い水温を維持してくれるから、のりの出来が良くなる-ということになる訳ですが、この時以来、のり養殖漁場の海域に注ぐ河川の数を気にするようになりました。

さらに、水産試験場ののり養殖研究員との会話でも、のり養殖漁場に影響を与える河川とその流水量がのり養殖に欠かせない存在であることを教えられました。後に東北のかき養殖漁家の畠山重篤氏が「森は海の恋人」という本を出版したことを知らされ、「やはりそうか」という思いをしました。そして、この本の出版後、各地で海を「畑」としている漁家による「河川の上流の山」に植林を行って海を育てるという活動が見られるようになりました。

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写真4. 有明海に注ぐ筑後川上流の山に「漁民の森」を設けて植林するのり漁家

九州有明海地区では、毎年のり養殖が終わった梅雨前の時期に、各県の漁業組合連合会や漁業協同組合が主催し、山間地自治体の協力を得て、のり養殖漁家が地元の人達と一緒に植林を行っています。

前回、2月6日の「のりの日」記念行事として山間地小学校の給食にのりを寄贈する活動の事を書きましたが、児童達がのりの話を聞き、「この川が有明海まで流れているのですか。そこで採れたのがこののりですか。」と感慨深く聞き入っていたのを想い出しました。

のり養殖を行っている漁業後継者や青年部の若い人達が、とつとつとではあるがのり作りの様子を詳しく話す姿を熱心な眼差しで聞き入る児童達には、自然の大切さが身に沁みて感じられるようです。「川をきれいにしなければならないと思いました」と感想を述べる児童達の表情に、頼もしさが感じられます。

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写真5. のり養殖漁業の漁業後継者達の熱心な話しに聞き入る児童達

豊かな森林に覆われた山間地から流れ出るいく筋もの清水が、流れ下るにしたがって出会い一つの流れになり、さらに川、河川として広がり海に注ぐ、その流れを山、平野、都市の多くの人達が見守り、きれいな流れにすることが豊かな海の畑を育てることにつながります。

きれいな水が山間部、平野部の生産物を自然なおいしさに作り育てるように、その流れを受け止めた海が海の生産物を自然なおいしさに育て人々に与えてくれます。

のりはその海に育つおいしい藻類であることをもっと多くの人に再認識してもらおうと、平成23年漁期は終わりましたが、7月に入ると全国ののり産地では新のりの準備に取り掛かります。

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