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産地を追って no.7 全国で新のり養殖始まる「健康に育て!」祈るのり漁家

1 カキ殻入れにも効率化が求められている

九州地区では、のり網を土間に広げて人海戦術でカキ殻入れ作業を行うのが主体ですが、地区によっては下の写真の様に、30枚重ねののり網を縦に掛けて、1.8mの網幅に3人が横に並び、椅子に掛けたまま目の前に繰り上がってくるビール袋にカキ殻を入れる作業を行っているところもあります。

のり網を縦に巻き取りながらビニール袋にカキ殻を入れる
ビニール袋に入れたカキ殻を機械から外してトラックに運ぶ
①のり網を縦に巻き取りながらビニール袋にカキ殻を入れます。
②入れ終わるとそのまま巻き取り、③機械から外してトラックに運びます。

準備が済んだのり網をトラックに積み込み海岸に運び、のり船に積み込まれて準備が終わるとようやく一息入れることが出来ます。採苗網を積み込んだのり船が岸壁にズラリと並んだ現場(写真下)を見ると、いよいよのりシーズンが訪れたことを実感します。

ずらりと並ぶ採苗網を積み込んだのり船
ずらりと並ぶ採苗網を積み込んだのり船(写真はいずれも佐賀・川副(かわぞえ)地区で撮影)

のり網にのり種を括り付けて直接海上で採苗(のり網への種付け)を行うことを、通常「野外採苗」といいます。

前回紹介した、宮城県で行われている鉄輪(通称・水車)にのり網を巻きつけて屋根付の施設で採苗を行うことを「室内採苗」と呼び、外で水車を回しながら採苗することを「陸上採苗」とも言いますが、その呼び方は、産地によってまちまちです。

このように、室内や陸上で採苗したのり網は、のり網にのり種が付いたことを顕微鏡で確認して、一度冷蔵庫に入れ、海水温が安定した頃を見計らって海上に張り込み、育苗(いくびょう=種を育てること)期をある程度設けて、のり網を1枚ずつ海上に広げて行き、養殖作業が本格化します。

のり種を取る「採苗」、のり種を育てる「育苗」については、各産地の県の研究・指導機関の情報を得ながら、潮時(干潮、満潮)のタイミング、のりが育ち易い海水温の時期などを予測して各県ごとに決定されます。

採苗は東日本地区が毎年早めですが、育苗については全国とも10月初めから中旬に掛けて行われます。九州・有明海では福岡、佐賀の全域と熊本の半分の地区が10月16日の午前6時以降の開始になりました。

2 漁場への一番乗り目指すのり師たち

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