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日本産アマノリ属藻類紹介

海苔の豆図鑑

マルバアサクサノリの写真

no.7

和名

マルバアサクサノリ

学名

Neopyropia kuniedae
〔ネオピロピア クニエダエ〕

所属

紅藻 ウシケノリ科 アマノリ属

特徴

葉状体は卵形、円形、腎臓形で、基部は心臓形ないし漏斗状をしており、縁辺は全縁(顕微鏡的な鋸歯がない)でゆるく皺状に波打っていたり巻き込んでいたりすることもあり、しばしば基部まで裂けていることがある。葉状体はやや赤みのある褐色で、長さ10 cm、幅15 cmくらいまでになる。葉状体は1層の細胞からなり、厚さ28‐35 µmで、1細胞に1個の葉緑体を持つ。雌雄同株で、雌雄の生殖細胞は葉状体の縁辺部に混在し、精子嚢班は葉状体の下部縁辺に白くぼやけてできたり上部では縁辺から内側に縦縞状に伸びたりしている。肉眼で見ることのできる葉状体と顕微鏡的な糸状体(コンコセリス)の世代が交代する生活環をもち、単胞子(原胞子)による無性生殖がある。
環境省は絶滅危惧Ⅰ類に、水産庁は絶滅危惧種に指定している。

分布

東北地方太平洋岸、広島湾、有明海に分布。朝鮮半島からの報告もある。葉状体は潮間帯に成育し、冬によく繁茂、春~夏にも単胞子による無性生殖をする葉状体が少し残ることがある。


解説執筆

有賀 祐勝(あるが・ゆうしょう)

一般財団法人海苔増殖振興会副会長、浅海増殖研究中央協議会会長、公益財団法人自然保護助成基金理事長、東京水産大学名誉教授、理学博士

おしば標本の写真提供

菊地 則雄(きくち・のりお)

千葉県立中央博物館分館海の博物館主任上席研究員、理学博士

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