産地情報 | 産地リポート
産地の活性化を図るための活動について
現在の漁場でののり養殖から消費者に届くまでの流れを見ていますと、生産から共販までの流れと、商社から消費者への流れが分断されているようで、生産者からは消費者の顔が見えない仕組みになっています。
生産者はあくまでも共販を通して商社に販売するだけの存在で、商社もまた大型小売店や外食業者に販売するだけの存在のようです。本来のり産業の中枢にいるはずの生販業界は、ただ目先の買い人に販売するだけの存在のようです。
現在の農水産物の大部分は、生産者と消費者がお互いの顔が見える形での販売を行って初めて作る者の励みと買う者の安心感を確認し合うという方法で商品に対する信頼と価値を与え合っているように思うのですが、そのつながりの糸が現在ののり共販システムでは繋(つな)がれていないようです。
その最大の要因は、のり養殖漁家は生産したのりをすべて共販に出品しなければならず、生産者が消費者に直接販売することが出来ないという販売契約が結ばれていることにあります。
その結果、寒中の海でおいしいのりを作るための手数を掛けた作業で苦労するよりも、売れ筋の業務用向けののりを多く生産出来るようにしたいと言う本音を語る漁家も見受けられるようになりました。
このような風潮が広がるのを恐れますが、現状の産地価格の状態では「後継者」が育たなくなり、のり養殖漁業の将来を危惧せざるを得ない状態です。このような現状を早く脱却しなければなりませんが、そのためには、現在の流通を生産者と消費者がお互いの顔が見える流通状態に改善しなければなりません。
そのための一つの方策として、手を掛けておいしいのり作りをしている漁家の製品を、数量が少なくても購入して販売したいと言うのり商社に漁協が中継ぎをしながら販売するバイヤーを育成しなければならないようです。現在の「全量集荷、全量販売」という共販団体とのり買い付け指定商社との間で交わされている規約の一部改変を行い、せめて10%以内の製品について、「自主流通」の道を開く必要があるのではないでしょうか。
おいしいのり作りに努力する漁家とおいしいのりを販売したいのり商社を結びつけて、双方のリスクを勘案しながらのりの「価値」を販売するということが今後の販売方法の一つとして取り入れられないものでしょうか。最初は一部の漁家と一部ののり商社との取引になるでしょうが、誰もがそのような販売グループに生産数量の一部でも入れるようになれば、おいしいのり作りの輪が広がるようになるのではないかと考えるのですが、部外者の空論なのでしょうか。
それにしても、産地の活性化を図り「後継者」の育成を図る方策を早急に考え行動しなければならなりません。今後「地方の時代」が大切だという国の声も聞こえ始めています。この機会にそれに取り組むことを真剣に考えてみたいと思います。