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産地を追って no.6 新のり養殖準備始まる-生産意欲高まる被災産地:宮城と九州有明海から

1 慎重に行われている採苗作業

宮城県下では既に8月下旬から陸上採苗が始まり、これまでのところ作業は順調に進んでおり、9月中旬にはほぼ全域で終る見込みです。

七ヶ浜町花渕浜を訪ねたその足で石巻湾地区を訪れましたが、カキ養殖作業場のスペースで、早朝から陸上採苗の水車が回り、作業が始まっており、午前9時頃に着きましたが、当日の作業を終える直前でした。のり部会の近藤正昭副部会長は「13日頃には種付けが終了する」と語り、今漁期への期待感を口にしていました。

採苗の状態を調べるため顕微鏡を覗いてる漁家は「芽付は良い」とのことでしたが、同時に「去年は全国的に生産数量が少なかったこともあるが、宮城県の平均価格は良かったので、今年は秋芽から順調に育つようにしたいと、みんな張り切っている。残暑が続いて水温が下がらないのが心配だが…」と、この日までの晴天続きが気になるようでした。

写真左 回る6台の採苗水車(石巻湾)
写真右 顕微鏡で芽付の状態を見る漁家(石巻湾)
6台の採苗水車が回っていました。
顕微鏡で芽付の状態を見る漁家。(いずれも石巻湾)。

また、顕微鏡を覗きながら「地区によって海況が多少違うからまちまちではあるが、芽付きはやや多めに付けているところが多いね」ということで、秋芽から慎重な漁場の管理で、昨年のような良質のりの生産にしたいと、多少遅れても海水温が適水温(23℃以下)に下がるまで待つ方針が強いようです。

石巻湾から塩釜市に向う途中、沿岸の広い敷地で既に地鎮祭が終わっていた、東松島市矢本地区の現場に向いました。この地区では、12名が4グループでの共同作業を行うと聞いていましたので、地鎮祭が終わっていた土地がどのようなっているか見るためでした。

広い敷地には4棟の作業場が建設中でした。この4棟の作業場には、20連の乾のり製造機と18連の乾のり製造機がそれぞれ1台、10連の乾のり製造機が2台導入されます。

写真 東松島市矢本地区ののり作業場建築現場、奥に向って4棟が建設中
東松島市矢本地区ののり作業場建築現場、奥に向って4棟が建設中。

復旧が進む一方、県内の沿岸地区は建設中の建物や更地になったところもあり、倒壊した家屋が震災当時のまま放置され、また1m近く地盤沈下したままの状態で高潮による浸水も見られるなどまだまだ震災の爪痕が残っていました。

一方、今漁期からのり生産を始めるのり漁家を含めて、約130名ののり漁家の震災からの復旧意欲を改めて感じさせられました。地元のり商社も今漁期から生産量が増えてくることを歓迎し、「去年の秋芽のりは良かった。今年もあんなのりを採ってほしい」と語っていました。

9月7日と8日の2日間での駆け足の取材でしたが、宮城の多くの関係者から、今年にかける「みちのく寒流のり」への想いを強く感じました。その想いをぜひ消費者各位にもお伝えしたいと思っています。

2 台風一過、有明海も新のり準備本格化

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