ノリは紅藻植物門 ウシケノリ綱 ウシケノリ目 ウシケノリ科 アマノリ属(Porphyra)に属する藻類の総称で、かつて(2011年以前)正式にはアマノリと呼ばれてきました。このアマノリ属には世界全体では130種以上があり、日本産のものは29種が含まれるとされてきました。養殖ノリとしてよく知られているスサビノリやアサクサノリはその代表的な種です。
しかし、ノリに関する近年の研究(分子系統解析)の進展は国際的にも目覚ましく、これまでアマノリ属(Porphyra)とされてきた藻類は2011年に8属に再編されることになりました。その結果、日本産のノリはマクレアマノリ属(Boreophyllum)、アカネグモノリ属(Neomiuraea)、アマノリ属(Pyropia)、ベニタサ属(Wildemania)の4属に分類されることになり、大部分は新しく設定されたアマノリ属(Pyropia)に属すとされました。
ところが、分子系統解析の研究が更に進み、2020年にはアマノリ類は14属に再々編されることになりました(詳細はno.4 アマノリ類の学名をご覧下さい)。日本産のノリはマクレアマノリ属(Boreophyllum)、アカネグモノリ属(Neomiuraea)、オニアマノリ属(Neoporphyra)、アマノリ属(Neopyropia)、ミナミアマノリ属(Phycocalidia)、ウップルイノリ属(Pyropia)、オオノノリ属(Uedaea)、ベニタサ属(Wildemania)の8属に分類されることになりました。ただし、日本産の6種は分子系統解析(DNA解析)がまだ済んでいないため、旧分類のポルフィラ属(Porphyra)のままになっています。
その後、2021年には新種としてセンジュアマノリが記載されました。また、同年、中国の固有種とされていたハイタンアマノリ(中国名: 壇紫菜)が伊豆諸島の式根島と八丈島に自生していることが報告されました。この結果、日本産のアマノリ類は31種となりました。
「海苔の豆図鑑」では、菊地則雄氏に写真提供のご協力を戴き、有賀祐勝先生に日本産アマノリ類の簡潔なご紹介を戴きます。(「海苔の豆図鑑」2020.8.31.改訂 2021.12.10.改訂)
解説執筆
有賀 祐勝(あるが・ゆうしょう)
一般財団法人海苔増殖振興会副会長、浅海増殖研究中央協議会前会長、公益財団法人自然保護助成基金理事、東京水産大学名誉教授、理学博士
おしば標本の写真提供
菊地 則雄(きくち・のりお)
千葉県立中央博物館分館海の博物館主任上席研究員、理学博士