日本産アマノリ属藻類紹介

海苔の豆図鑑

アサクサノリの写真

no.1

和名

アサクサノリ

学名

Neopyropia tenera
〔ネオピロピア テネラ〕

所属

紅藻 ウシケノリ科 アマノリ属

特徴

葉状体は長楕円形から楕円形で、線状披針形(細長い竹の葉状)のものもあり、基部は楔形から円形である。長さ7-24 cm、幅2-5 cmで、栄養豊富な場所では長さ50 cm、幅10 cmくらいにまでなることもある。薄い褐色からやや緑色がかった赤褐色で、下部(基部)は青緑色がかったものがある。葉状体の縁辺は全縁で顕微鏡的な鋸歯はない。未成熟の部分の厚さは24‐35μmで比較的薄い。雌雄同株で雌雄の生殖細胞は混在しており、雄のみの葉状体もある。

肉眼で見られる葉状体の生育期は秋から初春(9月下旬~翌年4月下旬)で、その他の季節(高温期)には、葉状体から放出された果胞子(接合胞子)が貝殻などに潜り込んで成長し、顕微鏡的な糸状体(コンコセリス)の形で過ごす。糸状体に形成された殻胞子は9月中下旬に放出され、発芽して葉状体になる。幼い葉状体に形成された単胞子(原胞子)が放出され、発芽して葉状体になる無性生殖が知られている。
(養殖品種としてオオバアサクサノリがある。)

分布

北海道南部、本州、四国、九州;朝鮮半島に分布する。葉状体は河口周辺や潮入の湖沼などに広がる干潟に生育し、潮間帯上部の種々の基物(ヨシなどの根元、杭、流木、貝殻、岩、小石、釣り糸など)に着生する。


解説執筆

有賀 祐勝(あるが・ゆうしょう)

一般財団法人海苔増殖振興会副会長、浅海増殖研究中央協議会会長、公益財団法人自然保護助成基金理事長、東京水産大学名誉教授、理学博士

おしば標本の写真提供

菊地 則雄(きくち・のりお)

千葉県立中央博物館分館海の博物館主任上席研究員、理学博士

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