和名
イチマツノリ
学名
Neoporphyra seriata
〔ネオポルフィラ セリアータ〕
所属
紅藻 ウシケノリ科 オニアマノリ属
特徴
葉状体は円形ないし腎臓形で、基部は心臓形または漏斗状をしており、縁辺は全縁(顕微鏡的な鋸歯がない)で、多少波打っており、時には裂片を生じることがある。葉状体は、濃い緑色がかった褐色で、場合によっては緑藻のアオサ類と似ていることもあり、通常は長さ5-12 cmであるが、長さ・幅とも25 cmくらいまでの大きさになることもある。葉状体は1層の細胞からなり、厚さ38‐74 µmで、1細胞に1個の葉緑体を持つ。雌雄同株であり、雄の生殖細胞(精子嚢斑)はほぼ正四角形の斑で雌の生殖細胞群の間にあり、市松模様のように見える。肉眼で見ることのできる葉状体と顕微鏡的な糸状体(コンコセリス)の世代が交代する生活環をもち、単胞子(原胞子)による無性生殖はない。
水産庁のレッドデータブックでは絶滅危惧種に指定されている。
分布
北海道南部、本州北部、九州、山口県の沿岸に分布。朝鮮半島や中国からの報告もある。葉状体は潮間帯の岩上に成育し、2月~4月によく見られる。
解説執筆
有賀 祐勝(あるが・ゆうしょう)
一般財団法人海苔増殖振興会副会長、浅海増殖研究中央協議会会長、公益財団法人自然保護助成基金理事長、東京水産大学名誉教授、理学博士
おしば標本の写真提供
菊地 則雄(きくち・のりお)
千葉県立中央博物館分館海の博物館主任上席研究員、理学博士