和名
ウタスツノリ
学名
Neopyropia kinositae
〔ネオピロピア キノシタエ〕
所属
紅藻 ウシケノリ科 アマノリ属
特徴
葉状体は披針形(ササの葉状)ないし長楕円形で赤味が強い紫紅色をしており、基部は楔形である。普通、長さ20-70 cm・幅5-15 cmにまでなり、縁辺の皺は少ない。色彩以外の外観はスサビノリに似ている。葉状体は雌雄同株で、雌雄の生殖細胞は混在しており、精子嚢斑は縦長の形状をしている。縁辺は全縁で顕微鏡的な鋸歯はない。1層の細胞からなり、厚さは32-48 µmで、断面で見ると細胞の高さと幅はほぼ同じである。各細胞は1個の葉緑体をもつ。葉状体と糸状体とが交代する生活環を持ち、野外では単胞子(原胞子)が放出されることは知られていないが、培養実験では葉長7-10 mmの頃に少数の単胞子を放出するのが観察されている。
分布
北海道から本州東北地方にかけての太平洋岸に分布する。葉状体は、漸深帯の岩や貝殻の上に着生し、他の海藻などにはほとんど着かない。
解説執筆
有賀 祐勝(あるが・ゆうしょう)
一般財団法人海苔増殖振興会副会長、浅海増殖研究中央協議会会長、公益財団法人自然保護助成基金理事長、東京水産大学名誉教授、理学博士
おしば標本の写真提供
菊地 則雄(きくち・のりお)
千葉県立中央博物館分館海の博物館主任上席研究員、理学博士