日本産アマノリ属藻類紹介

海苔の豆図鑑

ウタスツノリの写真

no.14

和名

ウタスツノリ

学名

Neopyropia kinositae
〔ネオピロピア キノシタエ〕

所属

紅藻 ウシケノリ科 アマノリ属

特徴

葉状体は披針形(ササの葉状)ないし長楕円形で赤味が強い紫紅色をしており、基部は楔形である。普通、長さ20-70 cm・幅5-15 cmにまでなり、縁辺の皺は少ない。色彩以外の外観はスサビノリに似ている。葉状体は雌雄同株で、雌雄の生殖細胞は混在しており、精子嚢斑は縦長の形状をしている。縁辺は全縁で顕微鏡的な鋸歯はない。1層の細胞からなり、厚さは32-48 µmで、断面で見ると細胞の高さと幅はほぼ同じである。各細胞は1個の葉緑体をもつ。葉状体と糸状体とが交代する生活環を持ち、野外では単胞子(原胞子)が放出されることは知られていないが、培養実験では葉長7-10 mmの頃に少数の単胞子を放出するのが観察されている。

分布

北海道から本州東北地方にかけての太平洋岸に分布する。葉状体は、漸深帯の岩や貝殻の上に着生し、他の海藻などにはほとんど着かない。


解説執筆

有賀 祐勝(あるが・ゆうしょう)

一般財団法人海苔増殖振興会副会長、浅海増殖研究中央協議会会長、公益財団法人自然保護助成基金理事長、東京水産大学名誉教授、理学博士

おしば標本の写真提供

菊地 則雄(きくち・のりお)

千葉県立中央博物館分館海の博物館主任上席研究員、理学博士

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