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産地を追って no.4 のり普及促進への動き

【平成24年3月9日掲載】

1 のり養殖漁家の減少

今年ののり生産もピークになっています。今年は北日本や日本海側は雪の多い年になりました。また、日本全国が寒気に包まれたようです。のり産地はほとんど太平洋側の沿岸地域にあります。日本海側の冬は気温・水温が低く寒風が強いため、のりという海藻にとっては生活するのが難しいようです。

しかし、岩のりはそのような環境の中で育つように生まれ合わせているようで、寒風吹きすさぶ荒波に耐えて、海岸の岩場にしっかり根を張り、環境に応じた生き方を身につけて育って来ました。

もう一つの青のりは、川と海の境目で、穏やかな水の流れに身をまかせてのんびり育ちます。海に注ぐ大きな川で塩分の低いところで生活しています。

海苔の種類にはいろいろありますが、それぞれに生活の場が違いますので、それはいずれご紹介することに致します。

通常の養殖のりですが、このところ、養殖漁家が毎年少しずつ減少しています。その大きな原因は、のりの産地価格(入札価格)が安くなったことです。養殖技術や生産設備の機械化で生産数量が増えると同時に、消費市場でのり販売業者の価格競争が活発になり、低価格販売が当り前になってしまったことがのりの価値を低下させる結果を招き、さらに、一般食品の多様化により食生活が大きく変わったことなどが、のり需要そのものの減退につながったのではないかと考えられています。

のり養殖技術の発達と製造工程の合理化(主に機械化)、衛生設備の整備などの設備投資も大きく、生産コストの引き下げを図るために、のり養殖漁家5~6人による協業化、組合事業化が進んでいます。しかし、このような設備投資額は1億円以上になり、部分的な設備投資でも数千万円が必要です。このような現実を前に、のり養殖漁業の先行きを案じて後継者も減少しており、また後継者に託すことへの不安を感じている高齢漁家は、自分の代で廃業する動きも多くなっています。

その動きがどのようになっているのか、2005年度以降6年間の推移を見ると表1.のようになります。

表1.過去6年間ののり養殖経営体、漁家数の推移

年度 経営体数(戸) 前年比減少数 漁家数(人) 前年比減少数
2005 4,883 276 6,449 251
2006 4,692 191 6,242 207
2007 4,374 318 5,794 448
2008 4,026 348 5,344 450
2009 3,656 370 5,065 279
2010 3,174 482 4,562 503

資料:全国のり生産漁連による集計

この資料では、2010年度の宮城県は集計されていません。悲惨な災害により集計が難しかったためですが、宮城県で今年度のり生産に踏み切ったのり漁家は60名、あれから1年を経て、次年度(今年10月以降)からのり養殖を始めようという漁家は震災以前の漁家数の60%程度と予想され、およそ120名相当になりそうだということです。

しかし、このような数字を見ますと、これはのり産業全体の将来を示唆する数字ではないかとドキリとすることがありますが、何とかして、この数字に歯止めを掛けなければならなりません。そのためには、のりの需要を増やすことが大切であると同時に、多くの人達にのりの「価値」を認めてもらわなければなりません。のり漁家が寒中の海で栄養豊かに育てあげた作品です。そのことをどのように食べて頂く方々に伝えて行けば良いのだろうか…。いま、その思いを込めた動きが、消費地や生産地でようやく始まっています。

2 需要促進に取組む姿あれこれ

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