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産地を追って no.9 終盤を迎えたのり産地~低価格で終漁期早まる~

【平成25年4月4日掲載】

1 4月中旬でのり生産もほぼ終了

平成24年度ののり生産も終盤を迎えています。毎年、海苔を養殖できる漁場の使用期間は、9月から翌年4月末までと決められています。しかし、海苔養殖漁場にのり網を吊るす支柱を建てたり、浮き流し養殖のため海底にのり網を固定する作業などが必要ですから、9月中はその準備作業を行います。また、気象海況を見ながらのり養殖の準備をしますから、のりを海中で育てる期間は10月中旬から翌年の4月中旬までになってしまいます。

さて、24年度の全国のり生産枚数がどれくらいになるのか、各産地に今後の生産予想枚数を聞きながら、最終的な生産枚数の予測をまとめてみたいと思います。3月15日までに全国の産地入札会場で販売されたのりの枚数は、73億8,303万枚です。昨年同期の枚数は63億3,548万枚でしたから、約10億枚多くなっています。

昨年の最終的な枚数は76億7,045万枚でした。したがって、単純な推定では昨年に10億枚プラスした86億枚相当が今年度の枚数になりそうに思えますが、そうはならないようです。

その大きな要因は、入札価格が安くなっていることです。3月中旬現在の過去5年間の入札会で販売された累計枚数と平均価格の推移を見ますと表1のようになります。

表1.過去5年間の3月中旬までの入札結果

カッコ内の平均単価を見ると、20年度以降の最低で、23年度までの4年間の平均単価から更に一段下がっています。このため生産意欲が減退して、のり網を海中から引き揚げて生産をあきらめる漁家が増えました。また、水温がやや高くなって来ましたので、のりに必要な海水中の栄養成分を吸収するプランクトンが増え始め、その結果、のりが栄養分を充分に吸収しきれないまま黄色くなってしまう現象が多く見られています。

こうした二重の悪条件が加わり、予定より早く生産が終わりそうな気配が強くなっています。

次に、3月15日から31日までの間に行われる入札会出品枚数の予定枚数について各産地の入札会主催漁連への聞き取りを交えた予測集計を行ってみますと、3月16日~31日の全国集計は3億1,363万枚になります。昨年同時期は7億6,262万枚。一昨年同期は7億0,589万枚でしたから、半減する予想です。

そして、4月の入札会出品予定枚数は、さらに減りそうです。3月中旬までの入札会で販売された枚数は昨年を10億枚相当上回っていたのですが、3月下旬の時点で昨年比7億枚増になりそうです。

今年は4月以降の生産状態が気になりますが、昨年の4月以降の入札会出品枚数は約5億7,234万枚、一昨年は3億5,493万枚でした。今年は、いまの生産状態から見て3億枚の出品は難しいと思われます。したがって、最終的には、昨年を6億枚弱上回る程度の生産枚数で終わりそうです。ということは、最終的な全国生産枚数は、昨年の77億枚より約6億枚多い82~83億枚程度で終わりそうな気配です。

2 低価格競争で輸入のり増加傾向へ

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