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産地を追って no.19 熊本市・宇土市の「のり産地」、地震・豪雨で大きな被害

【平成28年6月17日執筆、平成28年7月21日掲載】

熊本市を中心とする4月14日、16日の2回にわたる大きな地震による被害は、普段地震に対する関心が薄い地域だけに大きなショックを与えました。以来3ヵ月になりますが、余震は連日続いています。さらに梅雨入り後は例年にない豪雨に見舞われ、降雨量も過去にないほどの状態になっています。このため白川、菊池川、緑川などからの有明海への流量が多く、流木や土砂も大量に流れ込み、今後この海域の漁業全般に大きな影響を与えると見られています。
熊本県ののり産地でも被害が出ており、6月13日の豪雨による山崩れで、宇土市住吉町の貝類漁家の家族が亡くなられる悲劇も出ています。

1 熊本県内の漁協、のり商社の被害状況

熊本県漁連の調査結果に聞き取り結果を加えた県内のり産地の地震による影響は、次の通りです。

≪熊本市内の漁協≫
◇松尾漁協=水の出が悪かった。
◇小島漁協=床地面のひび割れ、のり製造機械のズレが見られた。
◇畠口漁協=のり製造機械のズレが見られた。
◇川口漁協=のり製造機械のズレが見られた。

≪宇土市内の漁協≫
◇住吉漁協=1漁家避難。のり製造機械及びのり種苗培養槽のズレが見られた。
◇網田漁協=のり製造機械のズレ、地割れ、事務所内の被害が見られた。車の中に非難した漁家も見られた。

特に大きな問題は、のり製造機械のズレである。のり機械メーカーによる修復作業が行なわれているが、大型で重量のある機械だけに1日に1軒の修復作業がやっとであり、漁期開始までに被害を受けた全漁家の修復が間に合うかどうか心配する声も聞かれています。

≪のり商社≫
熊本市内ののり商社で小売部門を併設しているところは、店内の商品が床に落ち、倉庫に積み上げたのり箱が崩れ落ちるなどの被害が出ました。
「隣のビルのブロック塀が倒れ、自宅兼会社の壁を壊し」その結果、近くの大型駐車場に避難し「家族全員で車の中で一夜を明かした」というのり商社もありました。
倉庫に積み上げたのり箱が崩れ、積み直した翌日に再び大きな本震に見舞われ、積み直したのり箱が無残に崩れ落ちた状態を見て、「うんざりしたよ」と語ってくれたのり商社の社長もいます。

熊本港入り口でのひび割れ道路の補修工事
熊本港入り口でのひび割れ道路の補修工事

熊本港への道筋、沖新漁協の漁港に近い道路は、大きくひび割れており道路の補修工事が行われていましたが、道路に面したのり機械メーカーの事務所の道路わき看板が斜めになっていて、地震の激しさを物語っていました。

2 余震と豪雨に泣かされるのり漁家

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