春爛漫の今日、桜前線も北上し、今年は既に津軽海峡を越え、目下のところ函館がソメイヨシノの見頃を迎えておりますが、行楽シーズンたけなわとなるゴールデンウィークを間近に控えた4月中旬の週末土曜日に、筆者は山里の桃源郷に憩を求め、長男家族とともに山梨の甲府盆地を散策してまいりました。
盆地の麓は桃の花もやや散り加減ではありましたが、山裾は桃やサクランボの花、菜の花などが咲き誇り、あたり一面がピンクを基調に白や黄色に彩られ、果樹林からはメジロやホオジロ、ウグイスの囀りが聞こえ、久しぶりに心底癒される思いが致しました。
こんな季節にこんな場所で家族や仲間と食べる昼食となれば、日本人なら誰もが思い描くのが、黒々とした海苔に包まれた手作り持参の「おにぎり」であり「海苔巻き」、「海苔弁」ではないでしょうか!?
筆者が子供の頃(昭和30年代)は、まだまだ海苔は高価なものでしたので、1枚丸ごとオムスビに包んで食べると言う贅沢は叶いませんでしたが、ダイエットも心がける今日の私にあっては、米より海苔が主役の「おにぎり」を香り一杯頬張り、若家族はキャラ弁グッズを活用したほのぼの「おにぎり」を頬張る!こんな行楽時の光景を皆様方にも是非体験していただきたいものです。
さて、海苔は皆さんご承知の通り炭水化物やタンパク質はもとよりビタミン、ミネラル、カルシウム、食物繊維、EPA等々栄養成分が豊富で、しかも高い抗酸化作用で老化防止にも機能するベーターカロチンや水銀等の毒性軽減と発ガンの予防効果で注目されるセレンをも含む大変栄養価に富んだ食べ物とされております。
その栄養価とともに更に食品特性を高めているのは、前回掲載のエッセイで三重大学名誉教授の天野秀臣先生が詳しく記された海苔特有の「香り」ではないでしょうか!炊きたてのご飯の上にちょっぴり醤油を垂らした焼のりを乗せた時の香ばしさと磯の香りは、日本人なら誰しもが遺伝子を揺さ振られますよね!
ここで再度、話題が冒頭記した家族ハイキングでのおにぎり(海苔)弁当に戻りますが、わが家の2歳になる孫がよちよち歩きの頃から海苔が大好きで、見れば際限なく欲しがるのです。幼児ですから甘味食品をねだるのなら素直に納得するのですが、海苔に対するこの異常なまでの欲求は常々不思議に思っておりました。
そこで、「幼児は海苔が好き・・」をキーワードにネット検索してみますと、「海苔が大好物な息子・・来月で2歳になりますが、隠しても出すまで騒ぎます。何故あんなに好きなのでしょう?周囲の同じ位のお子さんたちを見ても、みんな海苔が大好きです。」「1歳10カ月になる子供がいます。海苔がすきで今日の朝たくさん・・・」「海苔の食べすぎ 1歳3カ月の子供がいますが、海苔をすごく欲し・・・」「海苔の大好きな1歳児。適量は???」などなど多数の意見、疑問が羅列されており、己の抱く疑問をさらに裏付ける結果と相成っているのです。
これは海から誕生した生命体が保有する遺伝子的なものに起因するものなのか、海苔に含まれる多糖類を分解できる唯一のバクテリアを腸内に宿すとされる日本人の子孫ならではの特異な嗜好性によるものなのか・・・と言った具合に、疑問はさらに膨らんでまいります。こと左様に海苔が幼児の好む食べ物であることは疑いようのない事実なのですが、その理由や食べさせる適量などへの適切な回答は見出されておりません。