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リレーエッセイ 2019・夏
北海道コンブを世界に伝えるために 1/2/四ツ倉 典滋
昆布(こんぶ)とは

「昆布(こんぶ)」とは、 褐藻類 コンブ目 コンブ科 に属す海藻の総称です。世界全体では14属63種が、日本では5属13種が知られています。生物学ではカタカナで「コンブ」と表記しますが、単なる「コンブ」という種は存在せず、マコンブ、リシリコンブ、ミツイシコンブなどのように使われます。食品関係では日常的に「昆布」あるいは「こんぶ」(「こぶ」)と表記するのが一般的で、松前昆布、日高昆布、三石昆布(日高三石昆布)、羅臼昆布、利尻昆布、浜中昆布などのように産地名を冠したものや、真昆布、細目昆布、長昆布、厚葉昆布、籠目昆布、猫足昆布などのように形態的特徴などを表わすものがあります。 漢字表記の名前が生物学のカタカナ表記の種と一致する場合もありますが、必ずしも一致しない場合があります。また、日高昆布はミツイシコンブ、羅臼昆布はオニコンブ、浜中昆布はナガコンブ、厚葉昆布はガッガラコンブに対応します。

北海道の宝物“コンブ”

日本の沿岸域は世界で最もコンブ類(コンブ目植物)の種多様性に富む地域のひとつです。一般に、日本人はコンブ類のなかで、現在3つの属(カラフトコンブ属Saccharina、トロロコンブ属Kjellmaniella、ネコアシコンブ属Arthrothamnus)に含まれる種を“昆布”と呼び、1000年以上も前から食材として利用してきました(図1)。これらの分類群に含まれる種は、いまのところ世界に20種が知られていますが、そのうち日本には11種が見られ、その全ては北海道が主な産地となっています。特に、さまざまな和食に用いられ、日本人と関わりが深いナガコンブS. longissimaやミツイシコンブS. angustata、マコンブS. japonica var. japonicaとその地域変種(ホソメコンブvar. religiosa、リシリコンブvar. ochotensis、オニコンブvar. diabolica)は、何れも北海道の沿岸で種分化が起こって誕生したと考えられています。従って、これらのコンブは世界のなかで北海道とその周辺にしか生えておらず(図2)、私たちは“北海道の宝物”として保全に努め、大切に利用していかなければなりません。

図1 アイヌによるコンブ漁の風景画(市立函館博物館所蔵).
図1 アイヌによるコンブ漁の風景画
(市立函館博物館所蔵).
図2 世界でも北海道の北部や東部の周辺でしか見られないオ二コンブの群落(羅臼沿岸).
図2 世界でも北海道の北部や東部の周辺でしか
見られないオ二コンブの群落(羅臼沿岸).

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