中国は日本・韓国と並んで数多くの海藻を食品として利用している国です。中でも海苔(のり)・昆布(こんぶ)・若布(わかめ)は代表的な海藻食品です。
2019年12月に中国遼東半島の大連・旅順を訪れました。1994年初夏に青島で開催された国際学会の後のエクスカーションで山東半島の煙台から大連を経由して北京まで行ったことがありましたが、それ以来25年ぶりの大連訪問でした。前回は大連沖の広大なコンブ養殖場を眺め、大連大学の研究室を訪問した記憶があるだけでしたが、今回はきれいに整備された旧日本人街や旧ロシア人街を見ると共に、近年続々と建てられた沢山の高層ビルや現在建設中の高層ビルの多さに驚き、その発展ぶりが特に印象的でした。そんな中、小さな海鮮干物店を訪れる機会があり、乾海苔をはじめとして、乾燥した昆布や若布などの海藻商品が陳列されているのを見ることができました。
この海鮮干物店で陳列されていた海苔は、中国伝統の円形に成形されたもので「圓紫菜」(円紫菜)と表示されていました(写真1)。海苔は中国語では紫菜(ツィーツァイ)と言います。「圓紫菜」は生ノリを刻むことなくそのまま円形に成形して乾燥したものです。中国で養殖されているノリは、すでにこのリレーエッセイ(2015年夏)で紹介したように中国固有種ハイタンアマノリと日本から導入されたスサビノリが主体ですが、日本の海苔と異なって四角形でなく円形の商品に仕上げるのが中国の伝統的な乾海苔の作り方です。20年以上前、中国南部の町で舗装してない埃っぽい道路に面した干物店の店先に、包装することなく無造作に積み上げられた沢山の円形乾海苔を見た時にはびっくりしました。しかし、今回は写真のようにきれいに包装されて並べられている商品を目の当たりにして、その進化ぶりに目を見張りました。衛生的な取り扱いは勿論のこと、見た目の美しさは大いに評価されてよい状態でした。中国にも四角に成形した乾海苔はありますが、この店には日本のように四角に抄いて仕上げた乾海苔は置かれていませんでした。