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リレーエッセイ 2019・冬
大連の海鮮干物店で見た海苔・昆布・若布 2/2/有賀 祐勝
世界一のコンブ養殖生産

海苔と共に乾燥昆布の商品も並べられており、「海帯板」と「海帯絲」と表示されていました(写真2)。

写真2 左の写真: 海帯板(右)と海帯絲(中央).右の写真: 海帯板.
写真2 左の写真: 海帯板(右)と海帯絲(中央).右の写真: 海帯板.

中国語でコンブは海帯(ハイダイ、ハイタイ)と言います。「海帯板」は日本の一般的な昆布商品と同様に平たい板状に仕上げた乾燥昆布です。「海帯絲」は平板状でなく乾燥して棒状になったものです。もともと中国にはコンブは生えていなかったのですが、日本統治時代に遼東半島大連にあった関東州水産試験場に勤務された宮城県出身の大槻洋四郎さんが北海道からコンブを移植し、太平洋戦争末期から戦後にかけて筏式養殖を考案し発展させたもので、その後遼東半島や山東半島の沿岸海域で大規模な養殖が行われるようになり、今や中国は世界一のコンブ養殖生産を誇っています(写真3)。

写真3 養殖コンブの乾燥風景(山東半島東楮島海洋牧場、2017年6月).
写真3 養殖コンブの乾燥風景(山東半島東楮島海洋牧場、2017年6月).
写真4 ジャガイモ・昆布料理.
写真4 ジャガイモ・昆布料理.

ただし、生産されるのは1年生の葉肉の薄いコンブです。養殖されたコンブの大部分はアルギン酸工業の原料にされますが、近年では食用昆布としての利用も徐々に広がりつつあるようです。ちなみに今回の旅行では、レストランでジャガイモと一緒に料理された一皿を味見する機会に恵まれました(写真4)。日本の料理とあまり変わらない美味しさでした。

わかめ養殖も盛ん
写真5 乾燥わかめ
写真5 乾燥わかめ

コンブと共に中国ではワカメの養殖も盛んです。ワカメ養殖も大槻洋四郎さんが考案した筏式養殖が基礎になっています。今回、大連の海鮮干物店で見た乾燥ワカメは包装袋に「カットわかめ」と日本語が書かれており(写真5)、日本企業との提携商品のようでした。わかめはノリと同じようにスープに入れるのが普通で、かなり一般的に食されているようです。

以上のように、中国でも食品として海苔・昆布・若布が広く利用されています。広大な中国大陸で海藻の食品としての利用は、かつては沿岸地域の人々にほぼ限られていたようですが、近年では内陸地方の人々にもかなり広がっています。貴重な有用成分を含む海藻食品の消費が拡大しているのは素晴らしいことだと思います。

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執筆者

有賀 祐勝(あるが・ゆうしょう)

一般財団法人海苔増殖振興会副会長、浅海増殖研究中央協議会会長、公益財団法人自然保護助成基金理事長、東京水産大学名誉教授、理学博士

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