① オオバアサクサノリ(左)
② ナラワスサビノリ(右)
1. 野生型アサクサノリ
2. オオバアサクサノリ
3. 野生型スサビノリ
4. ナラワスサビノリ
(スケールはcm、三浦昭雄 1987)
和名
①オオバアサクサノリ
②ナラワスサビノリ
学名
① Neopyropia tenera var.tamatsuensis
〔ネオピロピア テネラ ヴァリエタス タマツエンシス〕
② Neopyropia yezoensis f.narawaensis
〔ネオピロピア イェゾエンシス フォルマ ナラワエンシス〕
所属
紅藻 ウシケノリ科 アマノリ属
特徴
オオバアサクサノリとナラワスサビノリは、葉状体が成熟しにくい(雌雄の生殖細胞が形成されにくい)ために長大になる細葉形のアマノリとして1984年に三浦昭雄によって記載された養殖種である。基本的な特徴は、オオバアサクサノリについては「海苔の豆図鑑(no.1)」(アサクサノリ)を、ナラワスサビノリについては「海苔の豆図鑑(no.2)」(スサビノリ)を参照されたい。
オオバアサクサノリとナラワスサビノリはいずれもノリ養殖を通じて選抜育種により育成された高生長性・高収穫性の変種(ヴァリエタス、varietas)と品種(フォルマ、forma)である。葉状体は葉長/葉幅比が非常に大きく、線形(細葉形)を呈する。両者とも生長速度が速く、葉状体先端部付近に形成される雌雄の生殖細胞(果胞子嚢や精子嚢の集まり)ができにくい(成熟しにくい)ので長大な葉状体に生長するのが特徴で、摘採しないで放置すれば長さ1 mを超すような長大な葉状体になる(雌雄の生殖細胞ができると先端部がくずれやすくなり、生長が遅くなったり止まったりするので長大にならない)。
葉状体の栄養細胞部分の厚さは、アサクサノリの28‐35㎛に対しオオバアサクサノリではやや薄く、スサビノリの35‐53㎛に対しナラワスサビノリでは25‐30㎛でやや薄めである。現在、日本で養殖されているノリの大部分(99%以上)はナラワスサビノリまたはナラワスサビノリ系の養殖品種である。
ここに示す押し葉標本写真はすべて三浦昭雄氏作製のものである。
解説執筆
有賀 祐勝(あるが・ゆうしょう)
一般財団法人海苔増殖振興会副会長、浅海増殖研究中央協議会会長、公益財団法人自然保護助成基金理事長、東京水産大学名誉教授、理学博士