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産地を追って no.3 新のり生産始まる

3 頑張る宮城、新のり入札トップの座守る

東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県でも、一部ののり漁家が「宮城県のり生産を1年でも絶やすわけにはいかない。宮城ののりを待っている人がいるんだ。」という思いで、約60名の人たちが、災害を免れた機械や資材を共同で使ってのり養殖に取組んでいます。宮城産のりは「みちのく 寒流のり」と呼ばれています。北海道沿岸を通って北の方から流れてくる寒流の中で育ったのりということを表した産地銘柄です。

のりは晩秋から初春にかけて水温の低い海の中で育ちます。10月の中旬からのり養殖が始まりますが、東北のこの北の産地は、日本で一番早くのり養殖に取り組むことが出来る恵まれた産地です。従って新のり生産も全国でも一番早く始まり、市場に出回るのも全国で一番です。

その宮城の初入札会が、全国に先駆けて、11月21日に塩釜市にある宮城県漁協塩釜支所(幸い津波の被害を免れました)で開かれました。今年のりを生産できたのは昨年までの4分の1の漁家に過ぎず、その生産環境も極めて厳しかったのですが、約300万枚ののりを生産し、入札会に出品しました。

この初入札会までにどの程度の生産出来るのか全国ののり商社(いわゆるのり問屋さんです)が見守っていましたが、質の良いのりが生産され、この入札会には全国から有力なのり商社が集まりました。大災害の中から立ち上がった漁家の努力に対する畏敬の念もありますが、質が良く色の良いのりが出品された事と、生産数量が少ないという希少性も手伝って、昨年より少し高い値段で落札されました。この結果に、のり漁家もホッとした表情でした。

写真6 11月21日に全国のトップを切って開かれた宮城県漁協の新のり初入会風景
写真6.11月21日に全国のトップを切って開かれた宮城県漁協の新のり初入会風景(それぞれの海苔商社が入札時の価格を決める見付と言われる作業の様子)

このように初入札だけは全国のトップを切り、落札価格も上々というその地位を守ったものの、今後は、年間約7億枚を生産し全国第5位の実績を誇る生産県の地位を維持して行くことは難しいようです。

12月12日の第2回入札会には約1千万枚ののりが出品されます。災害復興を願いつつ海苔生産に励んでいる7地区(石巻湾内の石巻湾、石巻第一。松島湾地区の宮戸、宮戸西部、浦戸。仙台湾に面した七ヶ浜第一、七ヶ浜花渕浜)からの出荷されました。今年度から厳しい生産現場の中から立ち上がったのり漁家の全員が生産の本格化を見せ始めました。

宮城県ののりが今漁期どのように評価されるかを見ながら、来年度漁期からのり生産を開始しようと準備している漁家もいます。しかし、のり養殖に必要な機械、資材を全て失くした漁家は、どうすればいいのか思案しているところです。

来年度から始めようと考えている漁家にとって大きな励みになることでしょう。海況調査も十分に行われ、安心出来る海況の中で生産されるのりは、宮城県はもとより福島や岩手の東北各県でも販売されます。宮城県ののり漁家の「宮城ののりを待っている人がいるんだ!」という想いを十分汲み取って頂きたい―ただ念ずるのみです。

今年度の宮城県の生産数量がどのようになるのか、現実面を見ましょう。のり養殖漁家の減少によって、宮城県では毎年22~23回開いていた入札会も今年度は年間11回位しか開くことが出来ません。今年ののり漁家の設備の状態を考えると、今漁期1億5千万枚も生産することが出来るかどうか心配されています。その結果、宮城県が5億5千枚台の減産になると、この減産分をカバーする産地が必要です。

4 今年ののり生産はどうなるのか

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