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産地を追って no.8 (第2部) のり産地の風物詩「天日干し」再現~日本一ののり産地で有志が発起~

3 手抄きのり作りを追って

あれこれと、手抄きのり作りの姿を見ながら考えさせられるところが多かったのですが、あくまでも個人的な思いに過ぎません。それよりも、手抄きのり作りのその手はずをカメラで追ってみましたので、それを紹介します。

①この日の早朝に摘み採ったのりの原藻を籠(コンテナ)から取り出して5ミリ程度に刻むミンチ機械に入れます。お肉屋さんの店先で見る荒びき肉が出てくるのと同じです。

②四角の木作りの枠(19センチと21センチの大きさ)をのりミスの上に置き、ミンチしたのりを約2合入る手桶ですくい、木枠の内側にのりを広げるように流します。抄き終わったところで、ミスの上からスポンジでのりを押さえて脱水します。

③手抄きの経験がない若い人も先輩に教わりながら手抄きを実習していました。この日は、地元のテレビ局も取材に来ていました。

④抄き上がり脱水したのりは、ミスごと天日干し用の木枠の棚に引っ掛けて並べます。1枠に12枚ののりが掛けられます。そのまま外の日の当るのり干し場の棚に立て掛けて並べて行きます。

⑤杖代わりの乳母車を押しながら通り掛かった近所のおばあさんは、棚に並んだ天日干しの風景を見ながら「なつかしか~」と立ち止まって眺め、のりに近づいて「よう抄けとる-」とつぶやいていました。若い頃の手抄き風景を想い出したようでした。

干し場にのりが並び始めて1時間ほど経った頃「ピッ、ピシッ」という音が聞こえ始めました。のりが乾いてミスからはがれる音です。この音を「のりが鳴く」と言います。テレビ局の取材クルーも、この音がどのようにして鳴るのかと熱心にカメラを向けていました。

⑥のりが鳴き始めると、全体ののり干し棚を裏返しにして、裏側から天日干しをします。天日干しは3~4時間掛けて行われます。午前7時頃から始まった「手抄き、天日干し」の手作りのりは午後2時頃には乾き終わったようです。

⑦干し上がったのりは、のりミスの掛け枠ごと作業場に運び、ミスを取り外して、1枚1枚丁寧にのりミスから乾いたのりを剥(は)がします。乾いたのりが破けないように剥がすには要領が要ります。乾いたのりが付いている面の半分を片手で押さえ、抑えていない方ののりミスの端を持って軽く引っ張ります。残った面も同じような手加減で引っ張ると、ミスからのりが剥がれます。

文字で表現すると簡単なようですが、手加減を体得するには時間が掛かりそうです。

出来上がったのりは、「焼のり」にしてアルミホイルの袋に入れて販売されました。

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