産地情報 | 産地リポート
福岡有明ののり産地に被害集中
雨が治まった7月15日に福岡有明海沿岸の中島、大和地区の被害状況を取材しましたが、当日は矢部川の堤防決壊で最も大きな浸水被害を受けた地域は、浸水した泥水の繰り出し、家屋の修復や家財の跡片付けの最中でした。
そのため、通行禁止区域が多く、車を走らせる範囲が狭くなっていました。のり漁家ののり製造施設(全自動のり製造機、のり原藻洗い機、異物検出機械、のり結束機械などの附帯設備)の浸水状況を見ようと歩き出しましたが、慌しい動きの最中にのり製造工場の現場にカメラを提げて入ることは遠慮せざるを得ない雰囲気でした。
そこで、浸水地域の中島漁協を訪れましたが、約1メートルの高さの濁流が押し寄せ、漁船用のガソリン給油所、事務所裏の倉庫が浸水したようですが、幸い事務所の建物は1メートル近く地上げした土地の上に建っているため、事務所内への浸水は一部に止まっていたということでした。また、道向いののり集荷検査場も外観から見た程度ですが、床が高かったため、検査場内が浸水したようには見えませんでした。
しかし、矢部川に面した中島漁協の漁港は、対岸から見た状態では、桟橋の流失、作業クレーンの倒壊、河川敷に引き揚げて並べてあった漁船が流され、転覆、重なるなどの被害が見えました。
当日、中島漁協前で出会った知り合いの漁家によると「のり種苗培養場も浸水したが、糸状体培養中のかき殻を浸水直前に引き揚げて培養糸状体の浸水は免れたが、水が引いて培養槽を洗い、大川市の知人に頼んで、きれいな海水を運んでもらい、何とか保護することが出来た。でも、間に合わなかった人や製造工場が浸水した漁家も多く、すべての機械のモーター部分の水没もあり、被害は大きい」と語っていました。