産地情報 | 産地リポート
早くも港や海上の整備が始まる
7月19日午前中に再び被災現場に取材に行きましたが、中島地区の漁港では、河川敷に重なった漁船のうち被害が少ないと見られる漁船をクレーン車で吊り上げ矢部川に浮かべ、エンジンを始動させて漁船を動かすテストが行われているところでした。また、別のクレーン車は、倒壊した漁港作業用のクレーン枠を引き揚げる作業を行っていました。
矢部川河口から福岡有明海地区の養殖漁場に向いましたが、途中には、漁港から漁船に積み込むのり網や漁船から摘み取ってきたのりを陸揚げする時に使われる鉄骨のクレーン枠が濁流に押されて横倒しになったものや、桟橋が流れていたところもありました。
東日本大震災では、津波の水圧のすごさに息を呑んでテレビ画面を見入っていましたが、今回4メートル以上ある鉄骨のクレーン枠が押し倒され、曲がっている有明海の現場を見て、改めて河川の洪水の恐ろしさを思い知らされました。
7月19日に矢部川河口の有明海を堤防から見た限りでは、10メートルほどの流木や上流から流れてきたと思われる砕けた木屑などが、沿岸に打ち寄せられて帯状に連なっていました。遥か沖合まで流れているそうです。この日は、福岡有明海の一部を見たに過ぎませんが、有明海各産地の情報によると熊本県、佐賀県でも同じような光景が見られているそうです。
海上では、清掃委託を受けた建設会社のクレーン船が出て木材などの大型漂流物を除去する作業が行われています。しかし、有明海は干満の差が大きく、引き潮に乗った漂流木は島原半島の沿岸まで押し流されているそうです。
7月28日に聞いた漁家の話によると「流木が浮かんで流れているものは、漁船も避けて走りますが、重たい流木で海面に見えないものがあると、衝突することもあるので、海上作業はまだ無理です。スクリューを傷めたら大変ですから」ということでした。
佐賀県有明海漁協では、緊急理事会を開き、8月初めから漁協傘下支所全員で、海上の整理作業を行うことになっています。熊本県も福岡県も漁家独自に海上の清掃作業を行うことにしています。
7月も月末から晴天が続き、日中は気温35℃に達する日が多く、日蔭のない海上作業の暑さは想像を絶するようです。のり漁家は、養殖準備のため海苔網の整理を始めているところです。