産地情報 | 産地リポート
養殖技術が進み、2回初摘みする時代へ
10月中旬から全国で順次張り込まれたのり網は、当初30~50枚重ねとなっていますが、海苔の生長に応じて10~30枚重ね、5枚重ねと減らしていきますが(その分張り込む漁場の面積が広がっていきます。これを網の展開といいます)、重ねていたのり網を減らした網の一部は海から引き揚げて網のまま乾燥させてビニール袋に入れ、マイナス25℃程度の冷蔵庫で「冷凍保管」します。
健全なのり芽を育てるのり網洗いの風景(佐賀県有明海にて)
これは、最初に張り込んだのり網ののりが海中でのり特有の病害になった時や、海中の栄養成分がなくなる赤潮の発生などでのりの品質が悪くなり、生産出来なくなった時に、こののり網を引き揚げて張り替えるための予備網になります。
このようなのり網の冷凍保管技術は、昭和39年頃から普及が始まり、昭和45年頃には全国に広まったといわれています。さらに昭和50年代に入ると、最初に張込んだのり網の摘採回数が重なるとのり芽も次第に老化するため、最初に張込んだのり網を引き揚げて冷凍保管していたのり網を張り込み、再び新のりを生産する、いわばのり養殖の二毛作といわれる生産体制がとられるようになりました。10月に張り込んだのり網を「秋芽網(あきめあみ)」と呼び、冷凍保管していたのり網を「冷凍網」(冷凍網保管技術の実用化に最初に取組んだ愛知県では「冷蔵網」と呼んでいます)と呼んで、シーズンに2回の初摘みのりを生産することが一般的になっています。
その秋芽網は12月から1月末にかけて張り替えるところが多いのですが、その頃になると、産地の漁場は一段と忙しくなります。
のり養殖は、のり網を漁場に張込めばのりが勝手に育つというものではありません。海の状態を常に監視しながら、のりの生長具合を観察しなければなりません。おいいしいのりを育てるためには、のり網の汚れを落したり、日光に当てる時間帯を調節してアミノ酸を増やしたり、のりの細胞を強く育てる手間が必要です。これを「漁場管理」と呼んでいますが、このような作業を小まめに行なっているのり漁家が作ったのりはおいしく、見栄えも良く健康な細胞を持ったのりに育ち、値段も高くなります。