産地情報 | 産地リポート
【平成26年9月17日執筆、平成26年9月25日掲載】
のり産業の現状と将来を学ぶ産地漁家
全国各地ののり生産県では、毎年漁期終了直後の5月頃から生産開始直前の10月にかけて、県の水産行政の一環として、県内ののり養殖漁家に呼びかけて、その年ののり養殖情況の結果報告、次年度ののり養殖対策などの研修会を行います。また、県漁連(県漁協)や漁協でも研修会や講習会が行われ、10月中旬頃までこうした研修会が続き、その間に、のり漁家は新年度ののり養殖の準備作業を進める訳です。
今年の研修会では、「梅雨」、「秋雨」などを通り越した「豪雨」が延々と続き、日照不足が続く異例の気象推移のため、説明する側の各県研究機関(水産試験場、水試という呼称が一般的です)の技師も、水温の動きや栄養塩の状態が今後どのような推移するのか、「今年度ののり養殖海況」の見通しにはかなり苦労している様子でした。
参加しているのり漁家は、前年度ののり生産の状態を振り返りながら、今年度の気象海況予測を説明する各県の水産試験場の研究員や技師の話に熱心に耳を傾けています。さらに、講師として招聘したのり入札指定商社によるそれぞれの県ののり作りに対する評価、消費市場の現状と今後の売れ筋商品の販売状態などの情報を聞き、現在と将来にわたるのり産業の予想推移など、幅広い情報を学びます。
中でも、今年度のり養殖時期の気象状況や消費市場の現状から見た入札価格がどのようになるのか、当然のことながらのり漁家とって極めて関心の高い情報を熱心に聞き入っているその表情を見て、説明する側の緊張した表情にならざるを得ません。
のり養殖漁業の現状は、上質品がそれなりの価値評価をされていない状態であり、かつてはギフト商品(お中元、お歳暮)の上位を占めていたが現在では多くの加工食品が出回り嗜好が多様化しているだけに、嗜好食品で健康に良い食材としての地位を築いてきた「のり」の存在が薄れて来ていると言えます。